毎年恒例の青色確定申告、今年もその時期がやってまいりました。2017年の確定申告期間は2月16日(木)〜3月15日(水)です。
申告するメリットは複数ありますが、何といっても手間と時間がかかります。そこを上手くやって、儲けに繋がらない作業に時間を費やす時間はできる限り少なくしたい!今回の記事はそういう意図で情報をまとめています。
上記の記事では重要な箇所が抜けていました。実際のお金の流れを入力する具体的な方法です。青色確定申告はお金の流れを記入する作業がほぼ全てと言っても過言ではありません。私が使っている、フリーで確定申告に利用できるソフト「MFクラウド確定申告」の最低限の知識、よく使う箇所だけを挙げていきます。
最初に抑えておくポイントとして、お金の流れを入力する基本は「仕訳」です。MFクラウド確定申告では左側メニューに「自動で仕分」と「手動で仕訳」があります。きちんと設定すれば自動の方が圧倒的に早くて便利だし、設定もそこまで難しくありません。ただし今回は複式簿記の基本を思い出すという意味合いもあるので、ここでは「手動で仕訳」をベースに書いていきます。
そして簿記の知識について。正直、細かいところまで正しく理解するには時間がかかりすぎます。簿記はそこまで甘くない。青色申告は複式簿記、そこで混乱しやすいのは貸方、借方についてです。似た言葉は混乱の元、もう「左側」と「右側」で表現して、具体例を覚えておけば間違いありません。ではその具体例に行ってみましょう。
売上高の入力
売上を右側に書いて、入金の形式を左側に書きます。
・口座入力の場合
8/9 | 普通預金 | 楽天銀行 | 10,800 | 売上高 | Webサイト運用 | 10,800 | ***社 保守運用 |
・現金受け取りの場合
10/19 | 現金 | 小口現金 | 6,480 | 売上高 | IT業務代行 | 6,480 | ***様 ###対応 |
個人的には現金を受け取るよりも口座振り込みの方が楽です。ネットバンクの履歴や通帳を見ればお金の流れが一目で分かるし、MFクラウド確定申告のオススメ機能「自動で仕訳」によって入出金を自動的に仕訳することで非常に楽をできます。よく数字が合わなくなる小口現金という扱いをあまりしたくないのもあります。銀行によってはATM手数料(さらに振込手数料なども)が無料なところもあるので、月毎にまとめて受け取った現金を入金し、口座に振り込んでもらったという扱いで管理するのもありだと思います。
※売上の形式が複数あるのであれば、左メニューの「各種設定」から「勘定科目」を選択し、勘定科目・補助科目の追加を行う必要があります。
出費(経費など)の入力
出費を左側に書いて、支払い形式を右側に書きます。
5/8 | 接待交際費 | 飲食費 | 5,400 | 現金 | 小口現金 | 5,400 | ***組合, ###様 |
出費の場合は売上の時とは左右が逆になります。私の複式簿記の覚え方は「儲けが右で出費が左、残ったところに払い方」です。厳密には違うかもしれませんが、そこは勘弁してください(笑)
家事按分の設定
個人事業主は自宅兼事務所にしている方が多いと思います。そのため、家賃や電気代などの何割かを事業経費として扱うことができます。
ここで設定しておけば、期末の決算整理をする時に非常に楽です。赤丸箇所の「一括仕分登録」を押せば1年分の家事按分がまとめて事業主貸として仕訳されます。
新しい按分科目が必要な場合は青丸箇所の「家事按分設定の作成」から追加します。
按分の比率はちゃんと説明できる数値を入力しましょう。業種にもよりますが20%~50%という人が多い印象です。
生活費の引き下ろし、個人資金の投入
家事按分の項目で事業主貸という言葉が出てきました。複式簿記の中でも「貸借」という単語は厄介です。これも「貸方」「借方」ではなく、私は以下のイメージで覚えています。借金という言葉はイメージが良くないので「事業主借」はあまりしたくないという覚え方です。
事業主貸は左側、事業主借は右側になります。以下は生活費としてお金をおろした場合。
9/2 | 事業主貸 | 200,000 | 普通預金 | 楽天銀行 | 200,000 | 生活費引き下ろし |
(補足)赤字の繰り越しについて
仕事を始めて期間が短い、何らかの事情で売上が低いなどの場合、年間トータルで赤字になることがあります。その場合は青色申告をする必要がないと言われていますが、損得から考えて申告する方が良いです。赤字の持ち越しや社会的立場の証明などメリットがデメリットを上回ります。
赤字の場合でも事業を継続できているということは、個人資金を投入しています。この場合、全ての仕訳を終えた後に確定申告書の作成をしたところ、「青色申告決算書」の3枚目、「貸借対照表」の左側がマイナスになっていることがあります。これはMFクラウド確定申告の処理が間違っているということではなく、個人資金の投入を記入していないことが原因です。
この場合は自分でマイナス分を「事業主借」として仕訳入力する必要があります。
※さらに赤字の場合は損失申告書(第4表というもの)が必要になります。税務署や市役所で書類を入手して、税理士さんや税務署員さんに質問しながら記入すると早いです。
まとめ
何だかんだで今回もそれなりに時間がかかってしまった青色確定申告。毎月ちゃんと締めの作業としてお金の流れを記録していればかなり楽になります。
ただ、やはり一番の時短は知っている人に聞いて協力してもらうことです。専門外のことを正確にこなすことは時間がかかり過ぎるので、必要な知識を抑えた後で専門家にお願いする、それが最も効率的です。
私のオススメは、確定申告書をある程度のところまで作成しておき、税務署員さんや税理士さんに相談しながら書類を完成させ、そのまま提出する方法です。住んでいる市町村によって事情は変わりますが、確定申告時期になると市役所や税務署に相談コーナーが設置されることが多いです。地域の広報などを確認して、相談できる日程を把握しておくことが大事です。
ただし、時期と時間帯によりますが待ち時間が相当長いです。朝イチが一番いいですよ。