本当に困難な問題から逃げずに解決するための6ステップ

本当に困難な問題から逃げずに解決するための6ステップ 仕事術

仕事っていうのは、成功するまでは失敗の連続なんだよ。失敗するのが嫌だなんていっていたら、成功なんてあるわけがない。

世界一細い「痛くない注射針」や、携帯電話の小型化に貢献したリチウムイオン電池ケースを開発した岡野雅行さんの言葉です。

日常生活を送っていても、働いていても、うまくいかないことはしょっちゅうあります。むしろ問題がない方が珍しいかもしれません。 何か問題が起きた時にどう対処するか、そこで人の本質が問われると私は思います。

世の中には問題解決やそれに関連する手法が沢山あります。マインドマップ、KJ法、QC7つ道具などなど…各々どういう種類の問題に向いているか、どの程度の規模に適しているかなど、性質の違いがあります。

とは言っても、一つ一つ調べて自分が抱えている問題には何がいいのかを探すには、かなりの手間や時間がかかります。情報が増えすぎると決定が難しくなるというデメリットもあります。

その結果、 問題を解決する前にやる気を失ってしまっては元も子もありません。

そこで、色々な問題解決手法の共通点をかいつまんだ、それなりの種類の問題に対応できそうな、言わばベタな方法を自分なりにまとめてみました。

ゴールの設定

具体的な目標を設定する

問題を解決する第一歩はゴールを設定することです。

ここを具体的に決めないと問題が解決したかどうかが曖昧になってしまい、中途半端に問題が残ってしまったり再発してしまいます。

このステップをしっかりやるかどうかが、問題を解決できる確率や、解決までの時間に大いに影響します。

できる人はここを非常に具体的かつ詳細で、誰が見ても同じように受け取る内容にまとめます。そうやって、最短最速で問題を解決していきます。そういう人に私はなりたい(遠い目)。

また、問題を解決する途中で、考えが路頭に迷うことがしばしばあります。そういう時に 「そもそも何をしようとしてたんだっけ?」とすぐに戻れる目標があることはとても重要です。

正確な状況把握

正確な状況把握のためには、曖昧な言葉ではなく具体的な表現をすることが必要です。

「パソコンが動かなくなった!」と表現する方が結構いらっしゃいますが、申し訳ありませんが情報量が少なすぎます!

「パソコンで作業中、ブラウザのインターネットエスクプローラを立ち上げてから1分ほどすると画面が固まってしまう」という表現であれば、情報量が増え、より正確に状況を掴むことができます。

正確な状況把握ができれば、問題の原因特定がとても楽になります。

逆に状況把握がきちんとできなければ、正常なものを問題の原因として判断してしまい、誤った対策を取ってしまうことになります。最悪の場合、問題の悪化や問題の増加を招きます。

とは言っても、自分の専門外のことを正確に表現することは中々難しいことですよね。なので簡単なポイントを紹介します。

数値化する

個人の感覚は正確さにとって邪魔になります。

人に「ちょっと肩を叩いて」とお願いした場合、お願いされた人によって「ちょっと」の受け取り方に差があります。5回叩く人、30回叩く人、もしくは「ちょっと」を回数に対するものではなく呼びかけと受け取り、もういいと告げるまで叩き続ける人がいるかもしれません。

その点、数値は個人の感覚の影響を受けません。「10回肩を叩いて」とお願いすると、誰に頼んでも大抵は10回叩いてくれます。

この誰に頼んでも受け取り方が同じということが重要です。 数値化することで客観性が高まり、よりハッキリと状況を知ることができるようになります。

視覚化する

頭の中で考えていることや数字の羅列では、比較をしたり変化に気付くことが困難です。

「最近売り上げが落ちているなー」と感じても、ぼやっとした気持ちだけで、それ以上の情報に気付くことはできません。売上に関連するデータをExcelなどのソフトでグラフ化することで、月ごとの変化や購買層の違いなどの重要な情報に気付きやすくなります。

視覚化することで、よりハッキリと状況を見ることができるようになります。

必要に応じてゴールを変更する

場合によっては、状況を把握する前にゴールを設定することが難しいことがあります。さらに状況を把握する過程でゴールが変わっていくことがあります。

それを繰り返しているうちに考えが路頭に迷ってしまい、本来の目的を見失ってしまいがちです。

ゴールが変更になることはおかしいことではありません。問題なのは、そもそも何をしていたのかが曖昧になってしまうことです。迷子防止のために、 ゴール変更の経緯をまとめて、すぐに見返せる状態にしておくことが有効です。

原因の特定

正確な状況を把握できたら、次は原因を特定します。

個人的な意見ですが、ここが一番経験の差が出ると思います。経験豊富で引き出しが多い人なら短時間で見つけられることも、そうでない人だとどれだけ頑張っても見つけられないこともあります。

前のステップでも書いたように、ここを間違えるとステップ3~5をエンドレスで繰り返すことになります。これを俗にいうハマりと言います。全く笑えない状態です…こうならないためにも、ポイントをいくつかまとめました。

発覚経緯をチェックする

多くの問題には、それが発生するまでの潜伏期間があります。

事前チェックの甘さ、これくらいでいいだろうという思い込みなど、まず最初に原因があり、ある時点を境に表面化するという流れが一般的です。

この原因を特定するのに役立つのが、「おや?何か変だぞ」と思うに至った経緯のチェックです。

新人がよく言われがちな5W1H(Who,What,When,Where,Why,How)を意識しながら、気付いた経緯を調べます。そうすることで、問題発生から時間を遡って原因へ辿り着くことができます。

問題を分割する

そもそもこういう風に、手順に従わないと解決できない問題なんてものは、簡単に解決できる問題ではありません。簡単な問題であれば、パっとサクッと解決できるわけです。

よって、解決できるレベルまで分割してしまいます。

問題が発生した時、いきなり核心に迫るのはその道のプロがやることです。多くの経験やそこから得られた知識、感覚があってはじめて可能になる業です。

まずは大きなパーツに切り分け、さらに小さなパーツやそのパーツの役割に分割します。

小さなパーツであれば、それが正常か異常かを判断することが容易になり、異常なパーツが見つかればそれが原因だということが分かります。

熟練者であっても厄介な問題に遭遇した場合は、いきなり核心に迫ろうとはせず、問題を切り分けて探りを入れていきます。ただし経験によって、あまりにも関係なさそうな箇所は省くことがあります。

1つずつ調査する

問題を分割したのはいいが、調査方法が大雑把だと関係のないものを原因だと捉えてしまいます。

例えば部品A~Jの10個からなる機械が故障した場合、大抵は「これかな?」と3つくらい怪しい部品(ここではB,D,Fとします)を思いつきます。

そこで一度に部品B,D,Fを交換した結果、機械が動いてハイ解決!というのはよくあるケースです。

ですが、よほど急ぎの案件でない限りこの方法はオススメできません。本当の原因が分からない限り再発する危険があり、再発した場合は同じことを繰り返す羽目になります。

そして 説明を求められたときに上手く説明ができず、相手の信頼を大きく失うことになってしまいます。これは非常に大きな損失です。

最低でも部品Bを取り換えて動作確認、部品Dを取り換えて動作確認、部品Fを取り換えて動作確認を行うべきです。また、部品単体では問題が発生しないケースもあるので、組み合わせも最小単位で一つ一つ調査します。

対応策の実施

ここでようやく問題解決のための対応策を実施します。一番最初に設定したゴールを達成するために対策を施します。その際のポイントは以下の通りです。

対応策を調べる

原因が分かれば、その対応策を調べます。現代社会は非常に便利なので、ちょっと検索すれば非常に多くの情報を得ることができます。

ただし、欲しい情報を素早く見つけるのにもコツがあったりします。ここを参照してみてください。

1つずつ対応する

問題の原因が分かったとして、それに有効な対応策は一つとは限りません。二つ三つ方法を思いつくことが多々あります。

その場合、 いっぺんにまとめて対応策を実施すれば素早く効果が得られると思いがちですが、逆に遠回りになってしまうケースが多いです。

対応策ごとの効果、組み合わせによる影響が曖昧になってしまい、根本的な部分の理解が得られないからです。

理系の学部などでもよく言われることですが、実験において、パラメータは1つずつ変えて、その度に変化を調べることが基本です。

こうすることで、一番効果があると思っていたことが、実は対して効果が無かったなんてことが分かったりします。

対策に対する結果を記録しておく

上記の内容と少し被りますが、一つ対策を打つ度に、その結果を記録します。

この記録を正確にとっておくことで非常に助かることがあります。それはスムーズに問題が解決しなかった場合や、似たような問題が起きた場合です。

そういう場合に 同じことを繰り返すことなく結果が分かるので、かかる時間や労力を大きく削減できます。そんな時は、過去の自分にありがとう!って言いたくなります。実際に何度か言ったことがあります。

解決の確認

ここまで来たらあと一歩で終わります。ま、上手く解決した場合に限りますけどね!

よくありがちなのが、これだけ頑張って対応したんだから解決して欲しい、いや解決するだろう、むしろ解決したよね、というように自分の願望や思い込みが入ってしまうことです。これは最悪です。

多くの人が客観的な視点が大事ということを頭では分かっているものです。しかし、それまでの積み重ねが邪魔をして、主観がバンバン入ってきてしまいます。

そうならずに、客観的に解決したかどうかを確認するポイントとしては以下のようなものがあります。

確認するための環境を整える

物事の確認というのは、一度OKだったからもう大丈夫、では十分ではありません。「大丈夫。ファミ通の攻略本だよ。」くらい大丈夫ではありません。

正直なところ確認作業というのは、ちゃんとしようとすれば非常に面倒で手間がかかるものです。

その面倒な確認作業も、環境を整えることで非常に捗ります。パソコンの中で起きる問題であればデバッグ機能や仮想環境を利用します。

そうでない、例えば日常生活での問題などは、同一の環境もしくは似ている環境を見つける、もしくは作ります。

対策を施したことによる結果をすぐに確認できる環境を作ることが、確認作業を行うためのカギになります。

中には確認が難しく、一発勝負をせざるを得ない問題もあります。そういう場合でも、できる限り類似した環境を用意して確認した方が良いです。

たまに確認環境を全く用意せずに一発勝負に賭ける人がいますが、全くオススメできません。あとで血を見るのはその人です。

わざと問題を起こしてみる

自分で意識してわざと問題を発生させることは、原因をきちんと理解していないとできません。

さらに、最も少ない手数でそれができた場合、問題を根本から理解しており、制御できる状態になったと言えます。ここまで可能になれば、別のケースでこの事例を活かすこともできます。

時間、場所、環境、条件を変えて何度も試す

一度正常な結果が出たからと言って簡単に問題が解決したと思ってはいけません。時間、場所、環境、条件を変えて何度も試すことで、本当に問題が解決したかどうかを確認します。

チェックリストを作成することで確認漏れを防ぎやすくなります。ここでは素直な性格よりも疑り深い性格の方が向いているかもしれません。「ほんとにこれで大丈夫か?」「他に漏れはないか?」という意識を持つことが大事です。

別の問題が発生してないか確認する

当初の問題が解決したはいいが、別の問題が起きることがあります。これは根本的な原因を理解せずに対策を施した場合によくあることです。こうなってしまうとステップ3に戻ってやり直しになってしまいます。

そして、確認した結果、別の問題が発生していることが発覚すればまだマシです。しっかりと確認せずに、 別の問題が潜伏しているのにも関わらず解決したと判断してしまうと、後になって別の形で問題が発生する危険があります。

問題解決は手間も時間もかかるので、何度も繰り返すのは正直しんどいです。さらに、自分だけならまだしも他の人に影響を与える場合、問題が出ては対応するというのを繰り返していては「この人で大丈夫か?」と信頼を失うことになりかねません。

楽をしようとしても後でより苦労をして信頼を失うだけなので、 「自分はここまでやった」と相手を納得させられるだけの記録を残しましょう。

再発防止

ここから先は、よりクオリティを高めるための追加ステップと考えてもらっても結構です。

本当はここまでしっかりやりたいものですが、誰しも色々な制約の元で頑張っているわけで、置かれた状況によっては再発防止の実施が難しいこともあります。

人員や時間、費用が十分にあるならば是非ともやった方が良いです。そうした方が長い目で見ると楽できます。

そうは言ってもねぇ…ってことも多いのが現実なのですが。それはさておき再発防止のポイントは以下のようになります。

問題の解決方法、過程を記録する

二度あることは三度あると言いますが、一度あったことも二度あることがよくあります。 問題は起きるべくして起きるわけで、何かしらの条件や環境が整ってしまっているわけですね。

なので、問題が再発した時に「前やったけど、どうやったかなー」とならないよう、解決方法やその過程を記録して、すぐに見える状態にしておきます。そうすれば最短最速で問題を解決でき、時間や労力を削減できます。

マニュアル化したり、よくある質問集のように誰にでも参照できる状態だとベストです。

再発の予防策を実施する

問題を解決した後、同じような問題が起きないような仕組みを作ります。

例として、あるメーカーの製品に不具合があり、お客様からクレームがあったとします。原因は使用する部品Aの耐久性が低く、損傷していたことでした。対策として、送られてきた製品の部品Aを交換してお客様に送り返しました。

その結果、お客様は満足しクレームは解決しました。しかし、今後同じような問題が起きないとは限りません。同様の問題が起きる可能性があります。

この場合の予防策の案として、部品Aの業者を変更する、もしくは全部品に対して業者の選定条件に耐久性の項目を増やすなどが考えられます。

まとめ

以下、項目だけまとめたものです。

  1. ゴールの設定
    • 具体的な目標を設定する
  2. 正確な状況把握
    • 数値化する
    • 視覚化する
    • 必要に応じてゴールを変更する
  3. 原因の特定
    • 発覚経緯をチェックする
    • 問題を分割する
    • 1つずつ調査する
  4. 対応策の実施
    • 対応策を調べる
    • 1つずつ対応する
    • 対策に対する結果を記録しておく
  5. 解決の確認
    • 確認するための環境を整える
    • わざと問題を起こしてみる
    • 時間、場所、環境、条件を変えて何度も試す
    • 別の問題が発生してないか確認する
  6. 再発防止
    • 問題の解決方法、過程を記録する
    • 再発の予防策を実施する

 

こうして見ると結構な手順ですが、企業によってはこの数倍の手順を規定しているところもあります。

現在、私たちの身の回りにあるソフト、ハード、システム、サービスは高度化、複雑化していて、非常に便利な反面、問題発生の危険が至る所に存在します。だからこそ、いきあたりばったりの対応ではにっちもさっちもいかないわけです。

誰しもが名前を聞くような大企業の製品でさえ、発売後に不具合が生じて大規模リコールなんてことはよく聞きますよね。

ただし視点を変えると、 問題というのはある意味では成長のチャンス、伸びしろと捉えることができます。その部分を改善すればより良いものになり、そこで培ったノウハウを別の製品、分野に応用することができるようになるからです。

問題発生を喜ぶことはできませんが、その対応によっては成長に繋げることができる、こう考えれば逃げ出したくなるような問題対応も少しは前向きに捉えることができると思います。

イヤイヤやってる人はいつまで経っても成長しませんよ。

今回紹介した方法や考え方は、仕事だけではなく「ここ最近、体重が増えてきてやばい」とか「三十路目前なのに相手がいなくて人生のピンチ」など色々な事にも応用できます。考え方を柔軟にしてチャレンジしてもらえればと思います。

本当に切羽詰まっている時こそ、目の前で起こっている出来事に捕らわれず、一歩引いて全体を見てください。そこで基本に忠実に、問題解決の手法を一手一手進めて欲しい。

あなたの問題が解決することを願っています。